「人との会話が聞こえているのに何て言ってるか時々わからない」
「子供のころから「人の話きいてる?」と言われたり、電話の声がききとりにくくて困っている」
「うちの子供は聞き返しが多くてもしかして難聴なんじゃないだろうか」
など、このようなことに思い当たる方はおられませんか。
それはもしかしたら「聴覚情報処理障害(略語でAPD)」かもしれません。
「聴覚情報処理障害(APD)」はシンプルに表現すると「聞こえるが聞き取りにくい状態」です。
APDはまだ最近認知されてきた概念で、現時点では明確な診断基準や残念ながら治療方法も確立されていません。ある海外の報告では人口の約1%の方がAPDであるとの報告もあります。
最近では「障害」という表現自体に異論があり、「聞き取り困難(Listenig difficultiesの略で通称Lid)」という表現に置き換わりつつあります。そこで私はここからはこのブログでは「APD/Lid」と記載します。
APD/Lidは耳の入口から聴覚神経までの機能は正常ですが、脳の聴覚中枢での情報処理が若干遅れることで耳から取り入れた言語のすべてを理解できない場合がある、という表現で理解されています。
また他に似たような症状を起こすものに「auditory neuropathy(オーディトリーニューロパチー)」というものや「かくれ難聴:hidden hearing loss(HHL)」というものがあります。したがって言葉の聞き取り困難を感じる方すべてがAPD/Lidというわけではなく、聴力検査や言葉の聞き取り検査、そして「ABR」や「OAE」という検査をしてしっかりと鑑別診断していく必要がある場合もあります。
「もしかしたら自分はそうかも」とお感じの方は一度ご相談くださいませ。
いながき耳鼻咽喉科
院長 稲垣憲彦